バリデーションとは

機械加工を考えましょう。
材料を機械で削って、そのあとに既定の寸法になったかどうかを測定し、ある公差以内なら出荷し、保証する。
この場合、全ての部品を全数検査しなければ保証できないことになりますね。
測定できる場合はそれでよいとして、

あるプラスチック製品同士を超音波溶着します。この溶着が既定の強度となっているかどうかは、破壊しないと検査ができません。となると、抜き取り検査を行います。その時点でいくつかの強度不足品が出荷されるかもしれません。その時点でAQLを認めることになるのです。
製造者から言えば、1万個のうちの1つの不良かもしれません。でも、

お客様にとっては1個のうちの1つの不良。

お客様は、まぎれもなく使い物にならない不良品をつかまされます。
ものづくりを行う上で、AQLを認めたら、それはすでに一定のお客様に不良品が届くことを認めることになるのです。

しかし、これが医薬品、食品であればどうでしょうか?下手をすればその患者や使用者に多大なる危害を与えることになります。ですから、アメリカなどはFDAなどの組織を作り、どうすれば不良品を出さないものづくりが行えるかを考え続けているのです。

そんな中で出てくる概念がバリデーションです。

ものを作る過程、すなわちプロセスのばらつきをあらかじめ知り、そのばらつきの範囲が不良とされる範囲に収まっているかをあらかじめ確認します。そして、そのプロセスのばらつきが永続的に妥当な範囲に収まり続ければ、物理的に不良品が作られないという考え方です。極端な話、プロセスが充分安定していれば、無検査でもよいということです。
うまくやれば、検査代をまるまる浮かせられる効果がある考え方なのです。

しかし、それを誤ってとらえてしまっている場合がほとんどです。よくあるのは、よくわからない帳票まみれになっている状態です。ISOも同じような感じですね。