設備投資は問題解決です。
問題解決の過程でアイディアが発生する場合もあります。

さまざまな設備メーカさんと接することが多くあります。そんな中で感じるのは、世の中の多くの生産設備は中小企業さんが担っており、その中小企業さんは各々がコア技術を持っていて、継承と進化を続けていることです。コア技術の根源をひも解いていくと、実はある中小企業さんが発祥だった。などという話があります。
なぜ、中小企業さんが多いか。小回りが利く。なんでも作ってみる、チャレンジする。価格が安い。そもそも面白い。などの理由なのでしょうね。

さて、日本の現状として、こうした中小企業さんがコア技術を持ち、設備産業を支えているのですが、彼らのアイディアというのは、マネされ放題です。
ある中小企業さんがちょっとしたアイディアを生産設備に搭載すると、それを見た別のメーカが巧みにそれをマネして、いつの間にかそのコア技術が実施できるメーカが増えるという感じです。こうして、いつの間にやらアイディアを皆で分け合っているのです。

特許を取ればいいじゃないか?

実際は、特許が取得できる技術であっても、実際に特許化して維持できないのです。また、特許侵害を発見してもそれを訴える体力もない。訴訟はお金と手間とテクニックが要ります。いちいち訴えていては会社が持ちません。
そんな背景があり、だれも自分たちのコア技術を守れない状態です。

これから先、いわゆる日本国内のマネで皆が切磋琢磨する状態ならよいのですが、世界で日本のアイディアがマネされる事態も起こっています。
どう頑張ってもこれから先、世界と競争していかざるを得ません。いろんなところで言われるように、やはり知的財産戦略を意識した設備投資というのも考えていかねばなりません。

「生産設備への投資とは」でも申し上げているように、ただ良いハードを買えばよいのではありません。その良いハードを導入する過程で必ず問題解決は存在し、その問題解決の中にアイディアが含まれます。それがコア技術であり、大切な知的財産権です。
その知的財産権をしっかり守る。もしくは、そのコア技術が誰にもマネできない。元祖の方が安くて品質が高ければ、だれもマネをしません。
いわゆる知的財産権のオープン、クローズ、基幹技術戦略をしっかり押さえるということです。

私個人的にはこれら戦略を考えて実行できるのは、中小企業さんではなく、大手機械商社さんであると考えています。豊富な資金を元に、自分たちの範疇を超えて、日本全体、そして世界に向けて、中小企業さんの知的財産権を包括的に守り、中小企業さんが安心してアイディアを発生させ、日本全体で切磋琢磨できるような状態を構築していただけたらと思います。

切磋琢磨した日本固有のアイディアを熟成させれば莫大な国益を与えます。しかし、日本は、それを登録して維持するのに膨大なお金を取ります。。。なんでもかんでも特許化では確かにそうなるでしょう。国益となりえる日本固有のアイディアをどのように発掘して守るのか。今後の日本にそれが求められていると思います。