昨今、シーケンサなどのソフトウエアの台頭により、昔はカムで実施していた複雑な動きの繰り返し、超高速動作が、サーボモータに置き換わり、カムと全く同じ動きが可能となるソフトが出現しています。
私も設備導入をしていく中で一番迷うのは、このポイントです。確実な動き、間違えない動きを要求するときに、はたしてサーボが有効なのか?バグが起こらないのか?実際、複雑にソフトウエアで動作するサーボを用いた設備の信頼性の確保や作り込みは、地道で長いデバック作業により支えられています。
こう考えると、カムの方が物理的に明確であるため、デバックが不必要で効率的な気がしますね。ただ、ソフトウエアはプログラムですから容易に変更できて優位である背景から、サーボモータが優先的に採用されます。

それにより、カムが設計できる技術者は減っています。

どこにサーボモータを使い、どこにカムを使うか。どちらが有効か?ここが設備屋の腕の見せ所です。互いの特性を見極めて使い分けねば良い設備はできません。いわばハイブリッドですね。
経験的に、同期はメインモータで取らせて、重量部(メインコンベア)などをカムで駆動し、バリカムとかでタイミングをサーボに出してやるようなやり方が一番バグは少なくなりますかね。

メインがサーボでそのサーボのタイミングを別のサーボが取って、どこかにセンサーがあって・・・などと、ソフトウエアによるインタロックが多重になってくると、非常停止後の復帰など、イレギュラーな動きをするときに、電気屋さんが悲鳴を上げます。

成熟したカム技術と、台頭するサーボ技術。カムをサーボモータで回すようなことも面白いかもしれませんね。微妙なタイミングのずれをカムの作り替えではなく、サーボの回転速度で制御すれば、よりカムのモジュール化が進んで良いかもしれません。そうなると、バリカムのタイミングが良くわからなくなっていくのですが。

もしくは、より視覚的に接続機器の状態が分かって、バグっている個所が一目瞭然となるようなソフトウエアが登場するかもしれませんね。

サーボ、カムの長所短所

サーボ
・プログラムにより規定の動きが実現できる
・即、動きの変更が可能
・高速になると動きがずれる
・実は省エネでない
カム
・イニシャル/ランニングコストが小さい(消費電力が小さいため、モータも小さい)
・サーボに比べて電気配線工数約1/10
・見れば動きが分かる
・動きの変更が出来ない(カム作り替え)

サーボの選択

動き/スピード/ストロークを変化させる必要がある場合
→サイズチェンジ、品種変更がある

モーションコントロール(サーボ)
必ずフィードバックが入る。つまりブレーキや逆電流が入る。必然的にモータが大きくなる。
負荷やイナーシャ(慣性力)が多くなる/速度が速くなるほど、実際の動きはズレる。ズレを是正するためにモータがより大きくなる。この悪循環

サーボを使う良い例

ロールのピッチ送り
ロールの送りは、延び、滑り、ローラーの摩耗/偏芯、などにより経時により、数mmの変化がおこる。送りを多少変更したい場合が出てくる。こういった場合はサーボにより変更できる方が都合が良い。

カムを使う良い例

経時や状況により動きに変化が出ない工程
切る、折る、取る