どんな物でも購入しようとするとき、大きさと能力は非常に認知しやすいので、選択に迷うことが多いのではないでしょうか。
設備投資も同じですね。「大は小」を兼ねるなどと言われていた時代もありました。時代は過ぎ、今や適材適所を超え、「小で大」を兼ね、基本設備を組み合わせる時代になってきています。
「小で大」?となるかもしれませんが、多品種少量生産から変種変量生産の時代となり、生産ライン、すなわち生産設備も時代と商品の変化に応じて常に変わっていかねばなりません。
「小で大」とは、商品のライフサイクルを考え、成長期では「小」を多く持って生産量を増加し、商品の衰退期では「小」の数を減少して生産量を減少させる。商品を変種した場合は、「小」を省力で改造していく。「大」では、多くの費用と手間が必要です。

と言いながら、企業規模であるとか、市場の大きさによって、「小で大」が適切とは限りません。企業規模が大きく、多くの市場を相手にする多角化経営の場合、様々な事業を組み合わせて、戦略的に設備を回すことも可能でしょう。「小で大」も全体最適の一環として、生産設備戦略に盛り込むこともできます。

それほどの市場でない場合が最も悩ましいところです。
「小」をたくさん作るわけにはいきません。「大」を単純にいくつかの「小」に分ける場合、全体の投資金額は上がります。オペレータ数も増えます。「小が大」というのは簡単ですが、結局のところ、規模の経済に左右されます。

ではそのような場合どうするか。

価格が変わらない能力レンジの最大、かつ省スペースにすること

を考えます。
「大が小を兼ねる」じゃないかと言われそうですが、省スペースというのが大きなポイントです。
省スペースにより、その設備の大きさや重量は小さくなり、

  • 誰もが簡単に移動できる。
  • 場所の制約がなく、ライン構築の障害にならない。
  • 特注設備の場合、材料費が下がり、金額が抑えられる。

などの利点があり、その後の商品の変種に対応するフレキシブルラインの構築が、容易になります。

ただ、省スペースを追及するあまり、機能を詰め込みすぎて、保守性が悪化するのは好ましくありません。
設備構想や基本設計の際に、「本当にこの生産設備に求める機能とは何か」を突き詰めて考え、時には実験を行って最小で最適な基本設計を行うことが肝要です。

いずれ、モジュール化されたいろいろな基本設備を好きに組み合わせて、目的の生産設備を実現する様な時代がくるでしょうが、それまでは欲張って能力レンジの最大、かつ省スペースを追及すべきです。