能力と大きさが決まったら、人、物の動線、設置場所を考慮した、レイアウトを考えます。そして、材料投入から生産設備を使って製造し、出来た商品を出荷するまでのシミュレーションを行います。ポイントは以下の通りです。
レイアウト
生産設備の設置場所は有限でかつ制限があります。設置場所に柱があったり、出入り口は固定されています。材料や製品はどちらから入ってどちらから出るのが効率的か、製品はライン正面から向かって右に流すか、左に流すか。通常は日本人は右利きが多いので右に流しますね。(私は左利き。。。)
また、平面と限らず、立面で考えた方が良い場合があります。大型でプラントに近いようなラインの場合、
立面を考慮したレイアウトの善し悪しが、ランニングコストに影響します。
例えば、液体商品の製造です。平面でなく立面で考え、重力をうまく使うのです。原料を上から投入して、下にさがるに従い製品が出来上がる。そうすることで、無駄な送液などのエネルギーを削減出来ます。送液管の液溜まり(デッドボリューム)を削減できます。ただ、重力ばかりに気を取られると人が上下に移動せねばならない事態が起こります。このあたりのパランスを基本設計におけるシミュレートによって決めます。
このように、自然の摂理を利用すると生産設備の構成機器が減りコスト削減、さらに構成のシンプル化による品質向上が達成出来る場合があります。
バッファ量
効率的に生産設備を回すことを考えると、各材料や消耗材のバッファ量が多ければ良いということにはなりません。生産の最初にバッファにたくさんためる作業を行ったら、その時間は設備が動いていない。言いかえれば商品が作られていないため無駄な時間になります。
通常、材料投入では、各材料投入部へ人が周回する方法がとられますが、その場合、その周回サイクルに応じた必要最小限のバッファで生産設備を動かすことを考慮します。
動線
バッチ生産は、製品を作る手順に生産設備を並べる(フローショップレイアウト)方式が一般的です。これは、人が中心で生産設備が周りにあり、人がくるっと一周すると製品が出来るようなレイアウトです。
連続生産は、上のバッファ量で述べた通り、人が周回するすなわちU字のレイアウトが良い気がしますが、実はそこに落とし穴があります。
連続生産で大切なのは生産設備を止めないことです。
製品形状によりますが、物の動線を曲げると搬送で引っかかったりするのです。そうなるとかえって稼働率が落ちます。
シミュレート
レイアウト、バッファ量、人物動線が決まったら、シミュレートを行って、人と生産設備の稼働状態を確認します。通常、「標準作業組合せ表」などを用い、人と生産設備の関係を知り、無駄な動きが互いにないか確認します。人の稼働率は、100%にしてしまったらトイレに行く時間も無くなってしまうので、通常70%程度を狙います。生産設備は理想の100%を狙います。
ここでは、
人と生産設備が付加価値を生む作業を意識すること
が、もっとも大事なポイントです。
よく分からないが、人も生産設備もよく動いているから稼働率が高いと考えてはいけません。付加価値を生む作業時間。下の図に示す主作業の割合を高くし、かつ質を上げます。その他の作業や時間は全て無駄と考えるのです。
主作業とは、「付加価値を創出する作業」です。具体的には設計情報に基づいて、材料を変形、変質、変態させるような作業で、設計情報を材料(メディア)に転写する作業とも言えます。
人でも生産設備でもこの付加価値を生む作業を意識することで、いろいろな無駄が見えてきます。
人であれば、意外とリワークや検査が多いとか、生産設備であればタクトタイムは早いのだが、その内訳がほとんど搬送だったなどです。
労働時間(就業時間) | ||||
実働時間(実働作業) | 休憩 | |||
直接作業 | 間接作業 | |||
主体作業 | 準備・片付け | |||
主作業 | 付随作業 |
直接作業:作業指示オーダーが出ている作業
間接作業:朝礼、教育、事務作業、清掃、手待ち、無作業
主体作業:作業指示の生産個数分繰り返す
準備・片付け:通常、作業指示オーダーで一回
主作業:付加価値を創出する(材料を変形、変質、変態させる)作業
付随作業:治具、材料の取り置き、ワーク脱着、寸法検査
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