仕様書。おろそかにしていませんか?
「紳士協定」「言わずもがな」「あうんの呼吸」良いところもありますが、「おうちゃく」をしてはいけません。

一度、仕様書を書いてみましょう。書いて文字や図で表現することでいろいろ整理できます。

まず、発注側です。
生産設備導入の目的は何か。何を要求するのか。生産設備は何を担うか。を表現するために、必然的に整理して考えます。そして、その実現にどんな問題解決が必要か。具体的な運用はどうか。を発展して考え、文書としてまとめることになります。
それを見返すと、自分たちなりのものづくりと生産設備の目的との関係が明確になってきます。これが成熟化すると、生産設備仕様や運用方法の標準化が促されます。こうした一連のサイクルにより、ものづくりにおける付加価値が創造されます。

つぎは、受注側です。
発注側の仕様書を基に、何が求られているかを細かく知れば知るほど、どんな生産設備と運用の提供が必要なのかを考えます。さらに見積精度が上がることにより、積極的コスト低減を考えます。
このように受注側も深く考えるのですから、切り口の違った改善提案が出てくるかもしれません。

こうして、互いに仕様書を基軸として生産設備、強いてはものづくりに対してよく考えるようになるのです。この様な好循環サイクルにより、生産設備を基軸としたものづくりの付加価値が向上していきます。

生産設備導入が成熟化した企業の仕様書は、数百ページにおよぶと言われます。それだけ細かい仕様書が出せるということは、標準化が進んでいる結果です。しかし、成熟化が進みすぎると形骸化、硬直化が起こり、受注側すなわち外部からの改善の声は聞き入れられにくい状態となります。
受注側から改善案を引き出し、互いに切磋琢磨する環境を作りあげるぐらいの仕様書の表現がポイントです。

このように、発注側が「標準品を頼むだけ」でもダメですし、受注側が「言われた物を作るだけ」でもダメです。
互いの知識・知恵・経験を持ちこみ、ものづくりにおける付加価値を高めなければ、次のステージに行くことはできません。

投資機会というのは、発注側も受注側も、ものづくりにおける付加価値を高める絶好の機会です。

「そんな仕様書いらないよ。リピート品だから。」と言わないでください。少しだけ改善してみてください。それによる問題解決により、互いにものづくりにおける付加価値を高めあうことが出来ます。

経験上、仕様書には以下の項目は書いた方が良いと思います。
1)構成

どの様な設備で全体ラインを構成するか。

2)目的

なぜ、この設備が要るのか。

3)能力 不良率

どの程度の能力か。不良率は。AOLは許されるのか。

4)設置場所

何階に置くかだけで、構想は変わってきます(床耐荷重)。どのように搬入するかで大きさが変わってきます。

5)資材

どの様なパッケージを使うか。取扱が難しい材料はあるかなど。

6)共通仕様

決まったボタン配置、画面仕様など。その他、標準化された仕様。

7)個別機器仕様

どの様に動くことが好ましいか。手動動作。バッファ量の程度。どの様に材料を投入するか。

8)運用シミュレート

誰がどの様にオペレートするか。

9)設備構成

全体をどう動かすか。止める順番は。非常時の止め方は。復帰運転順は?

10)具体的運用(標準化された運用)

立ち上げから運転片付けまでの手順
生産情報の取得方法
非常停止からの復帰方法
連続運転かどうか。昼休みに止める。24hr操業など。

11)関連法令・グレード

食品グレードか、医療グレードか、それ以外か

12)検収条件

設置して動けば良いのか。量産3ロット合格か。

13)支給品

発注側から何を支給するか。それは有償か。

仕様書は、契約です。全てが必ずうまくいくとも限りません。そこで判定(ジャッジ)のよりどころになるのは仕様書です。何を作らせようとしたのか、何を作ろうとしたのかが第三者に出来る仕様書があれば、判定は明確です。